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図Dは、電圧形インバータの基本回路図で、説明の簡略のための単相交流出力とし、変換素子をS1……S4とし、点弧動作をスイッチ記号で示す。S1 S4 S3 S2の順次点弧により図Eのe8の実線で示すような方形波の交流出力電圧が現れる。その基本正弦波は波線の曲線で示すとおりである。
電動機の負荷電流i8は方形波電圧の影響で基本波電流成分より幾分歪んだ形で、かつ、電圧の基本波成分より若干遅れた位相の電流で、誘導性負荷の力率関係に相当したものとなる。
処で直流電源から流れる電流は図Eのi5曲線で示されるような形で正弦波曲線でなく一部に電流が遮断された形状をなしている。?の期間では電圧の位相に対し電流の位相が逆なので回生作用があることを意味し、?の期間では電圧、電流の位相が同方向のためカ行状態にあることを意味している。?の期間では直流電源からの電流が疎止状態にあるので、明らかに力行状態ではないが、電動機電流は内部残留起電力により電流を持続しようとする働きがあり、ダイオードDl、D4を通じて電動機端子間を短絡した形で循環電流が流れる。
?の期間では、直流電源側にダイオードD1,D4を通じて図Fに示すように電流を帰還するように流れる。実際には平滑コンデンサに充電されることになる。
?、?の期間の電流は直流電源側から見ると電動機に仕事を与えていないので無効電流とみなされる。この無効電流の処理を行うのにダイオードDl〜D4が電動機から電源側に電流を帰還するように動作するので、これらのダイオードを帰還ダイオードと称している。
(b)インパータの電圧、周波数
交流電動機の速度は周波数に比例するので、インバータは周波数を電動機の所要速度に応じて制御することが必要であるが、周波数でけを低く下げると電動機界磁の磁気飽和を起すので、これを抑制する目的で、出力電圧は周波数に比例するよう制御される。この比例制御により電動機界磁の磁束密度がほぼ一定に保たれるので、同一負荷電流に対し定トルク特性が得られる。
(C)出力電圧波形の制御
電流波形の制御法にはいろいろな方法があるが、電源がほぼ一定電圧の直流から整流素子のON−OFF制御により交流に変換し、その電圧波形を正弦波

 

 

 

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